ONE LOVE 〜スペシャル・エディション [ ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ ]
ONE LOVE 〜スペシャル・エディション [ ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ ]


【編集部的映画批評】音楽で国の歴史を変えた“レゲエの神様”の本当の姿とは?
映画『ボブ・マーリー/ルーツ・オブ・レジェンド』 (C)SHANGRI-LA ENTERTAINMENT LLC AND TUFF GONG PICTURES LP 2012
 MOVIE ENTERの新人編集部員であるマサキが、ビビビ! ときた映画を紹介します。今回は、9月1日より3週間限定で公開されるも、大ヒットにつき上映延長&追加上映が決定した映画『ボブ・マーリー/ルーツ・オブ・レジェンド』。今年でジャマイカは独立50周年を迎え、その記念作品として、ボブ・マーリー財団初のオフィシャル・ドキュメンタリーである本作が公開されました。

 “レゲエの神様”と呼ばれるボブ・マーリーは、“ONE LOVE”というメッセージとともにレゲエという音楽を世界中に広め、故郷ジャマイカの歴史を変えた、誰もが知るミュージシャン。そんな彼をいちミュージシャンとしてではなく、“1人の人間”としてその素顔に追ったのが本作です。

『ボブ・マーリー/ルーツ・オブ・レジェンド』

 当時、血で血を洗う政争を繰り広げていたジャマイカで、二大政党の党首をステージ上で握手させた“One Love Peace Concert”。その立役者ボブ・マーリーの全てに迫る。彼にしか成し得なかった奇跡に至るまでの行動とその緊迫の背景や、多くの女性を魅了した華やかな一面にも大胆に切り込んでいく。また一方で、幼少時より人種的な偏見に晒されながらも、その逆境に立ち向かった青年期など、初めて知るようなエピソードを数多く描く。

音楽との出会いは必然だった

 ジャマイカの山間部にある小さな村ナイン・マイルで、イギリス人の父とジャマイカ人の母の間に生まれ、鼻筋が通った綺麗な顔立ちをしているボブ・マーリー。20代の頃は特にイケメンで女性にモテたのも頷けます。それでも幼少期は、貧しい生活を送る中で“混血”という理由で白人からも黒人からも差別を受けてきました。彼と仲間たちによる音楽“レゲエ”が世界中に広がり、当時のシーンに多大な影響を与えるも、ボブは偉ぶることなく歌い、踊り続けます。当時のインタビュー映像で「あなたは多くの物を手にしましたよね?」という問いに対して彼は何と答えたのか。そのシーンで、こんなにも素直に生きている人がいたのかと衝撃を受けました。綺麗事ではなく、飾らずに発せられるボブの一言一言は、今の時代に足らない“何か”を気付かせてくれるような気がします。“混血”という宿命を背負いながらも、彼の中にある2つのカルチャーによって今までにない世界観、音楽を生み出してきました。その姿は、まさに“レゲエの神様”。ボブにとって音楽との出会いは、運命でも偶然でもなく必然。私たちが呼吸をするように、彼は歌い続けていたのです。

与え続けた“ONE LOVE”

 ボブの妻リタ・マーリーは、彼の華やかな女性関係を全て知りながらも、妻として、彼のバック・コーラスとして“最期”まで彼を支え続けてきました。普通の女性では耐えられないこともリタは耐えてきたでしょう。当時を振り返るリタがとても印象的です。それは、彼の娘セデラ・マーリーも同じだったそう。それでも彼を許し、尊敬し続け、慕っているのは、それぞれが彼から“ONE LOVE”をもらっていたから。ボブは、順位をつけるのではなく、それぞれに“ONE LOVE”を与え続けてきました。有名になったボブの自宅に訪ねに来る多くの人々に対して彼がしてきたことを見れば、その意味がよく分かります。彼は、ミュージシャンである前に、肌の色にもこだわらない“1人の人間”として生きていました。“神の子”とも呼ばれるボブですが、本作を通して彼の“人”としての温かみを感じることができます。だからこそ、彼の音楽は今でも世界中で愛され続けているのでしょう。

受け継がれた遺伝子

 本作は、約60名の関係者にインタビューをして製作されました。ボブが亡くなって31年、生きていれば67歳。当然、当時バンドを組んでいたメンバーや妻もそのくらいの年齢になっています。遺族を始め、本作の監督を務めたケヴィン・マクドナルドは、彼を知る関係者が亡くなってしまう前に映画を撮らなければならない、と思ったそうです。ボブとリタの間に生まれた息子ジギー・マーリーは「1人の男として父を描いているところが素晴らしい」と本作についてコメント。また、本作で初めて知ることもあったとか。そんなジギーやセデラのインタビューのシーンを観ていると、ボブは自分の子供であっても“人”として接していたんだろうと感じました。現在、ジギーはミュージシャンとして、セデラはファッション・デザイナーとして活躍。ジギーに至っては、音楽の才能はもちろんのこと、イケメンな顔まで受け継ぎ、若い頃のボブを思い出させるほど。リタ以外の女性と間に生まれた子供の多くも歌手として活躍しています。36歳という若さで亡くなったボブですが、しっかりとその遺伝子は受け継がれています。

 ボブ・マーリーを少しでも知っている人はもちろん、音楽に触れたことがある人には観てもらいたいと思える作品。未発表曲や未公開映像も盛り込まれた本作は、上映時間144分と少し長い作品ですが見応え充分です。音楽で争いを止めることができるのは、後にも先にも彼しかいないでしょう。観終えた後にボブの曲を聴くとどれも違って聴こえます。ミュージシャンとして、男として、人間として世界中から愛されるボブ・マーリーは、今の私たちに足らないものを教えてくれたような気がします。

 映画『ボブ・マーリー/ルーツ・オブ・レジェンド』は、大ヒット公開中。

映画はビビビ! のマサキの所見評価

音楽は世界を救う度:★★★★

レゲエ度:★★★

ONE LOVE度:★★★★★

一覧を見る

編集部的映画批評
映画『ボブ・マーリー/ルーツ・オブ・レジェンド』 - 作品情報

【MOVIE ENTERおすすめ特集】
海外ドラマ『ホワイトカラー』特集 - 元犯罪者×FBI捜査官、人気の秘密を徹底捜査!!
海外ドラマ『キャッスル/ミステリー作家のNY事件簿』特集 - あなたの周りのミステリーを大募集!
ƒNƒŠƒGƒCƒeƒBƒuEƒRƒ‚ƒ“ƒY